2024年12月20日、令和7年度税制改正大綱が発表されました。今回はエンジェル税制がどのように改正されたのかについて解説していきます。まだ、エンジェル税制についてよく分からない方は以下の記事をどうぞ。🔗エンジェル税制について詳しく知りたい方はこちらそれでは早速解説していきます。繰り戻し還付制度が創設され、再投資期間が延長に改正前のエンジェル税制では、スタートアップへの投資額をその年の総所得金額や株式譲渡益から控除するという仕組みでした。今回の改正によって、エンジェル税制を適用して令和8年1月1日以降に行った投資から、前年の株式譲渡益も対象となります。これにより、株式譲渡益が対象となる、優遇措置B、プレシード・シード特例、起業特例は投資期間が最長2年に延長されます。例えば改正前の起業特例は、会社設立時の出資額をその年の株式譲渡益から控除するというものでした。しかし、この制度では、会社売却などで多額のキャピタルゲインを得た年に、新たに会社を設立する必要があり、使いにくいとの声がありました。今回の改正により、株式譲渡益を得た翌年までが対象となりました。これにより、連続起業家にとって大きなメリットとなり、実際に活用しやすくなったと言えるでしょう。詳しくは以下の経済産業省の資料を参考にしてみてください。※令和7年度(2025年度) 経済産業関係 税制改正について、8・9ページより引用https://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeiseify2025/zeiseify2024/zeiseikaiseigaiyou2025.pdf繰り戻し還付制度の具体的な手続きまた、この措置を利用するためには、その年の前年分の確定申告書に、スタートアップへの投資を行う旨などを記載した書類を添付しなければいけません。活用を考えている方は、期限内に必要書類を漏れなく提出しましょう。今後、経済産業省エンジェル税制のページに書類が公開されると考えられます。以下は、確定申告手続きにおける税制改正に関する対応部分です。(注2)上記の措置は、その年の前年分の確定申告書に、特定新規中小企業者に該当する株式会社等により発行される特定株式をその年内に払い込みにより取得をする見込みである旨の他の事項を記載した書類を添付して、その提出期限までに提出している等の要件を満たした場合に限り、適用できることとする。取得価額の調整について一方で、意図しない租税回避の事例があったとみられ、株式を取得した翌年末までに株式を売却した場合には、譲渡所得の計算において取得価額が調整されることとなります。(上場等の日以後に譲渡が行われた場合を除く。)こちらは、プレシード・シード特例や起業特例の非課税の適用を受けた場合でも、取得した翌年に株式を譲渡した場合は非課税にはならないということです。詳しくは、ページ下部の制改正大綱本文のエンジェル税制の抜粋文(1)①ロに記載があります。まとめ起業特例を利用しようと考えている方にとっては、今回の税制改正によって投資期間が延長され利便性が高まったといえるでしょう。以下に令和7年度(2025年度)税制改正大綱のURLと本文の抜粋、経済産業省の資料(エンジェル税制は8・9ページ)を載せているので参考にしてみてください。【令和7年度税制改正大綱】https://partsa.nikkei.com/parts/ds/pdf/20241220/20241220.pdf令和7年度(2025年度) 経済産業関係 税制改正について(8・9ページを参照)https://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeiseify2025/zeiseify2024/zeiseikaiseigaiyou2025.pdf令和7年度税制改正大綱のエンジェル税制部分の抜粋は以下の通りです。2 金融・証券税制(国 税)[延長・拡充等](1)特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等、特定新規中小企業者がその設立の際に発行した株式の取得に要した金額の控除等及び特定中小会社が発行した株式に係る議決権喪失の繰戻控除並びに特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例について、次の措置を講ずる。① 特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除、特定新規中小企業者がその設立の際に発行した株式の取得に要した金額の控除等について特定中小会社が発行した株式に係る議決権喪失の繰戻控除等について、次の措置を講ずる。イ 令和8年1月1日以後に特定株式を払込みにより取得をした居住者等は、その年において生じた特定株式控除未済額がある場合には、所轄税務署長に対し、その年の前年分の所得税額のうち当該特定株式控除未済額に対応する部分の金額の還付を請求することができることとする。この場合において、その取得をした特定株式の取得価額は、その年分の所得税について特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等の適用を受けた金額(ロにおいて「適用額」という。)と本措置の適用を受けた特定株式控除未済額(ロにおいて「適用特定株式控除未済額」という。)との合計額(当該特定株式が特例控除対象特定株式に該当するものである場合には、当該合計額のうち20億円を超える部分の金額)をその取得に要した金額から控除した金額とする。(注1)上記の「特定株式控除未済額」とは、その年分の一般株式等に係る譲渡所得等の金額と上場株式等に係る譲渡所得等の金額との合計額が、その年中に払込みにより取得をした特定株式に係る控除対象特定株式の取得に要した金額の合計額に満たない場合におけるその満たない部分の金額のうち、特定新規中小企業者に該当する株式会社等により発行される特定株式に係る控除対象特定株式の取得に要した金額の合計額に相当する金額をいう。(注2)上記の措置は、その年の前年分の確定申告書に、特定新規中小企業者に該当する株式会社等により発行される特定株式をその年中に払込みにより取得をする見込みである旨その他の事項を記載した書類を添付して、その提出期限までに提出している等の要件を満たす場合に限り、適用できることとする。ロ 令和8年1月1日以後に特例適用控除対象特定株式を払込により取得をした居住者等は、その取得をした年の翌年中に当該特例適用控除対象特定株式の譲渡をした場合(その譲渡が当該特例適用控除対象特定株式に係る上場等の日以後に行われたものである場合その他一定の場合を除く。)には、当該特例適用控除対象特定株式の取得価額は、当該特例適用控除対象特定株式に係る適用額と適用特定株式控除未済額との合計額(20億円を超える場合には、20億円)をその取得に要した金額(当該適用額と当該適用特定株式控除未済額との合計額が20億円を超える場合には、当該金額から当該超える部分の金額を控除した金額)から控除した金額とする。ハ 特定新規中小企業者がその設立の際に発行した株式の取得に要した金額の控除等について、上記イ及びロと同様の措置を講ずる。② 特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等及び特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等並びに特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例の適用対象となる沖縄振興特別措置法の指定会社に係る同法の規定に基づく指定期限を2年延長する。③ その他所要の措置を講ずる。